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wash

アニメの感想メインに、ギャンブルも少々。

CROSS†CHANNEL 〜For all people〜

数あるPCゲームのなかでも評判が良く、田中ロミオ氏の代表作と言っても過言ではないのでしょうか。
18禁PCゲーム「CROSS†CHANNEL」のPSVitaコンシューマ版をプレイしたので、感想をまとめたいと思います。総評までネタバレはありません。
 
・シナリオ設定
主人公黒須太一を含む登場人物達が通うのは少々問題を抱えた生徒が集う、いわば隔離施設のような群青学院。そんな群青のとある放送部があることをきっかけに崩壊していきます。人の残酷さや愚かしさ、または世界の冷酷さ。包み隠さず「人間」を表現することを追求したセカイ系青春群青劇。
この作品をプレイして疑問に思うのが、群青学院そのものの存在意義の曖昧さや隔離の甘さ。適応係数とは、といった点でしょうか。それが良い悪いとは関係なく、端的に言ってしまえば舞台装置のような、物語を進めるためだけに存在しているように感じました。
 
・キャラクター
黒須太一:主人公です。精神異常者で、原因は幼い頃に道具の如く扱われてきた過去からだと思われます。精神破綻していて、その学園のなかでも取り分け異常であるとされているわりに、自分の正義を他人に押し付けます。そういう意味では可哀そうなキャラクターだと思いましたが、いまいち掴めないキャラクターではありました。各パートでも彼の言うことが基本的に正しいとされ、最終的に自己犠牲に走ります。難解な人物で、感情移入が困難でした。
山辺美希:ヒロインです。彼女が一番まともに感じました。常軌を逸した自己愛を持っている設定なのでしょうが、まぁ普通にいるレベルです。精神異常で隔離するほどのものを作中で感じることはありません。道徳や倫理というものを兼ね備えているのは彼女と友樹くらいです。
佐倉霧:ヒロイン。やたらに主人公を嫌っていて、殺意さえも持ち合わせるほどであります。彼女のルートは、一番主人公に惚れるまで行くには難しいような話で、どうにも納得のいかないヒロインの一人でもあります。中性的な性格で、男勝りです。
宮澄見里:ヒロイン。彼女の印象的な行為は逃避です。何かに打ち込んでいるように見せて、彼女は他の何かから逃げていたりします。放送部部長。
桐原冬子:ヒロイン。メンヘラ女です。
支倉曜子:ヒロイン。毘沙門天です。
七香:謎の少女。舞台装置です。
島友貴:主人公の友人。声優が勝平さん。それしか印象がない。見里と兄弟であるが、名字が違うことからお察しですね、基本的にいい人っぽい。
桜坂浩:カレーパン。
・グラフィック
総じて綺麗です。統一感のある色彩と淡さが世界観に合っています。人物の儚さなどを感じ取れる絵になっていたので、必要十分なグラフィックだったのではないでしょうか。シーンが少なく、背景が少なく感じました。色々な場面を見たかったのもありますが、用意する必要もないシナリオなのかも。しかし、とりわけ良いという訳でもありません。身体のデッサンにおいては幾つか気になる点がありました。二の腕の長さや手首の曲がり方に違和感を感じました。
・音楽
歌アリ、bgm含めて印象に残っている曲は特にありません。ギャグシーンの度に流れるbgmは耳に残りますが、聴く頻度が多いからであって曲の優劣によるものではないと思います。
・システム
類似した文書を何度も読ませます。少しのニュアンスの変化や、特別読ませたい所なのかも知れませんが、スキップ機能は任意にして欲しかった。
・総評
正直言って退屈でした。端的に言えば、世界観に馴染めませんでした。セカイ系なので多少意味不明であったり、考察ゲーになるのは構えていたのですが…、苦手でした。
放送部の夏合宿帰りに突然ループ世界(B世界)同じ1週間をただ繰り返す世界へと放送部員全員が飛ばされます。そこでは決まった1週間を過ごし終えると記憶が消えたり、死んでしまってもその週があけると同時に蘇生し、永久に続く1週間がはじまります。
そうしているうちに、そのループから間逃れている空間(祠)があることにある週の太一が気がつき、そこにメモを残していき、次々と繰り返される隔週の主人公はループの事実と、その1週間でなにが起こっていたのかを記録し続け更新。最終的にはその世界から抜け出す術を見出し、太一が全員を送り届けることになります。
ですが、その世界への入り口を知覚することが出来るのは太一のみで、太一本人はそのB世界へ取り残されてしまう。という形で本編は終了。最後には、全員と別れるときに渡しておいたラジオからB世界にとらわれているはずの太一からラジオが入ります。世界線を交差するラジオ番組、クロスチャンネル。主人公、黒須太一。黒須チャンネル。というトンチが効いたオチ。
この作品、セカイ系ですし考察ゲーなので不明な点がいくつも上がります。
第一の疑問として、謎の少女七香の存在。
最後に明かされることになるが、どうやら太一の母親らしい。単純に、なぜその世界に七香がいるのかが疑問です。太一が祠に気がつく時は、突然謎の少女(七香)が颯爽登場。祠に行ってごらんなさいとだけ伝え、真実は伝えようとはせず、隔週の太一が七香に諭されループを間逃れている祠に辿り着き、話が進んで行くことになります。いわゆる舞台装置的な役割を担っているのが七香になります。
第二の疑問として、祠の存在。
祠に関する説明は自分が覚えている限りではありませんでした。そして祠は曜子や美希が干渉していることから、知覚するために特別な力が必要のない場所だということが推察できます。となると、祠の空間はB→Aとしてあるのではなく、A且つBである(またはC)という場所になると思います。となると、太一が他のメンバーを送り届けたのち、そこを経由して太一とのコミュニケーションを他の部員が取ることは可能なはずです。(祠内のメモ帳が古いという表現がされているので、時間の経過はある世界なのは確実です)
特に感じたのがこの辺りでした。
まぁ、とにかく腑に落ちないことや納得できない点が多い。
そういうものであるのもわかっていたし、必ずどこかに読み落としがあるのだとも思いますが、それを探す気にならないという意味では、やはり自分にはその程度だったとうことだと思います。キャラクターのパーソナリティ的な面でも理解出来ない部分が多いです。というか、精神異常者なのだから理解できなくて当然なのか?と思いきや、随分人らしいことも言いますから、そこで作られてしまったキャラクターとプレイヤー(私)との溝みたいなものは深まる一方でした。
最後の送還partでは、太一は祠に篭って固有太一としてループを間逃れながら一人ずつ還すのですが、説明してまとめてかえせばよかったのでは?とも思うし、一応、各少女と恋仲のようになるんですけど、1週間で彼女らは消えていきます。消えていくたびに「好きだった」ニュアンスを含ませた心情の描写がありますが、翌週にはまた次の女の子を好きになります。
各少女ごとにイベントのようなことが起こりますが、その描写の太一は本心なのか否かさえ怪しいと思えてしまいます。
それと、太一は自分が帰れないことを確信して行動をはじめるのですが、それも難解でした。
A→Bに転移できるのであれば、B→Aも可能なのでは?
まだ1周目で、回数をこなせばわかるのかも知れませんし、気づけない部分が多いのも知れませんが、やり込みがいはあるのかなぁと思いながらも、そこから先を知りたいとも大して思えませんでした。
今回はコンシューマ版で、純度100%の田中ロミオではないのかも知れませんが、ギャグも大して笑えませんでした。ですがそこは好き好きですかね。
おちゃらけた描写なのに急に真面目な話になったり、真面目な描写だったのに急に下ネタに走ったり。PCゲーの方ではR指定シーンがあると思うんですが、どこに入れるのかな?となりました。
あの流れで毎回ヒロインとイチャイチャしてたらさすがに無理があります。
説教口調になる太一くんの価値観が正義です。設定上、太一は学内でも際立った精神異常者であるはずなのに、基本的に取り乱したりしません。
とにかく、作り込まれた。と評判を聞いていただけに、それを感じられないのは残念だと思いました。
おそらく、自分が自分の価値観を持っているのもあると思います。僕の価値観が固まっていない中高生の時にプレイしたらよかったのかも知れませんが、何度も言うように原作の対象は18歳以上です。この内容はいかがなものだったのでしょうか。
人間とは、世界とは。というある価値観を執拗に主張しているように見受けられますが、結局この作品を通して何を表現したかったのかが伝わらず、残念でした。
散々に書きましたが、この作品が好きな人たちはおそらく、そこの考察を楽しめる人達です。
そこを楽しめるのであれば、やり込みもできるし、幾多の解釈もあると思うので、好きな人同士での議論はまた一興だと思います。僕は考察系が好きだと勘違いしていたのかも。
とりあえず、私の口から人に勧めることはないと思います。