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wash

アニメの感想メインに、ギャンブルも少々。

とある飛空士への恋歌

アニメ
 
監督:鈴木利正
シリーズ構成脚本:猪爪真一
キャラクターデザイン:原田大基
 
犬村小六の飛空士シリーズです。
順序を紹介しておくと
「とある飛空士への誓約」
の順番で、ガガガ文庫から出版されています。
追憶に関しては新潮からも出ていたと思います。
そのなかでメディア化されたものが「追憶」がアニメーション映画に、「恋歌」がTVアニメ化されました。今回は全13話のアニメ化された恋歌の記事です。
追憶のみ原作を読んでいて、それ以外には手をつけておらず、追憶の映画にも手を出していませんでした。追憶の映画に関しては、すこぶる評判が悪いから…。
原作がとても面白かったので、映像化されたものを見たい気持ちもあるんですけどね。
でもわざわざ見て不快な気持ちになるのもなんとも。とにかく、今作の恋歌は原作未読での視聴ということを前提で読んでもらえたら幸いです。
 
まず追憶と比べて、作風そのものは大きな変更点は特にないです。続きものですから、それもそうなのです。なので追憶を読んでる自分は世界観に入り込みやすかったのかもしれませんね。ボーイミーツガールのスカイオペラです。
私としては、エウレカセブンに次ぐ名作(ボーイミーツガール)がこの飛空士シリーズになります。
初回の放送で、主人公とヒロインが一目惚れのような形で惹かれ合いますが、そのお互いにワケありという展開です。ネタバレせずに言えば、決して出会ってはいけない2人が出会ってしまった。みたいな感じですかね。
その日は飛空科生徒達の初の晴れ舞台である式典があるのですが、一人だけ欠席者がいました。それがそのワケありの君、クレア・クルスです。
主人公カルエル・アルバスの元の名はカール・ライールと言い、ある一国の皇子でした。しかし、風の革命というニナ・ビエントを首謀者とした反乱により、国家と共に消えゆくことになります。しかし幼かった彼は死刑を間逃れ、心ある飛空整備士の元へ引き取られ、名をカルエルと改め、亡き母との約束を果たそうと飛空士を目指します。
変わって。病弱で引っ込み思案。そんな言葉がよく似合う、式典唯一の欠席者クレアはよそよそしく、儚げで、神秘的にもカルエルには見えます。
瞬く間に恋に落ちた二人の飛空士の行く末と、飛空科生徒たちの戦闘や死に対する思い。そうまでして彼らを駆り立てるものは何か。そしてその先には?
という具合に、王道といいますか。すごくわかりやすく盛り上がっていきます。
では、この作品の本筋ともいえる内容、彼らはどうして空を飛ぶことをやめないのか。それは「空の果て」という読んで字のごとく、空の果てを目指しているからです。
かつて存在が確認されていなかった最果てを遂に見た。という報告が入り、国を挙げて空の果てを目指す旅へと出発します。空には空の種族がおり、その上空を戦艦で入ろうものならば、必ず戦闘になります。主人公カルエルは、亡き母(元王女)と飛空士になる約束をしました。王城に閉じ込められ、民衆の非難の声を浴びながらの政治はそう容易いものではなく、幼いわが子が空を仰ぎ思いはせる姿を見て、母はあの空を飛んでほしい。自由に生きてほしいと願ったからだと思います。カルエルはその後に引き取られた父とも呼べる義父とも、必ず空の果てを見つけて帰ってきますと約束をし、そこに行けば、必ず何かが変わると信じて彼は飛ぶことをやめません。
この作品の魅力の一つとしてあげられるのが、メイン2人以外のキャラがとても重要で、とても魅力的であることにあります。この物語は飛空士の話です。カルエルのように、みな目的や背景があり、戦闘がおきれば死ぬ覚悟。そんな決心にいたるまでの思いや経験をそれぞれが持っています。小さな学園のような雰囲気もいいですが、そこでの人間関係もまたいいです。
これはアニメーションですから、アニメ的な評価もするとなれば、これは非常に演技が冴えています。主人公の声優は花江さんですが、幼さや無邪気さもあるけれど、どこか一貫した筋のような力のある声もあって、とてもカルエルにあったキャストだと思いました。クレアの声優は悠木碧さんですが、彼女は個人的に好きなので色眼鏡かもしれませんが、演技はバツグンです。
空戦の描写は、おそらく原作も素晴らしいと思いますが、アニメーションでもかなりいいです。アニメにおける空戦では、その空間の狭さみたいなものを感じられてしまうのが文章よりも劣る点かと思いますが、今回のアニメでは、空戦の描写が劣っていたという意味でなく、より心情を表現するようなつくりになっていたように感じました。
脚本も原作からの抽出になるのか不明ですが、最後のシーンや「歌えない恋の歌」など、グッとくるフレーズがとても多く、素晴らしかったです。
 
総評としまして、今作はおそらく原作がかなりいいのでしょう。しかし、アニメとしてやるべきことや、望んでいる仕事もキチンとこなされていて、久しぶ1クールアニメでいいものを見た。満足した。と思える作品でした。時間も少なく、笑いあり涙ありのヒューマンドラマとかっこいい空戦、国を巻き込んだ世紀の大恋愛スカイオペラ。
オススメします。